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■ 団塊の世代が生きてきた道程と行く末 | |
団塊世代とは1947・48・49年生まれの世代を言う。私も団塊世代の真中で、大阪鶴見RCにも団塊世代の方が多い。この世代は、60年代の高度成長期のさなかに青春を過ごした。大学進学率は男子が20%、女子が5%、大学生がエリートから大衆に変わる過渡期で、大学紛争を起こし、70年代の初めに学卒で就職したあと、73年にオイルショックにぶつかった。社会にはまだ高度経済成長の余韻が残り、選ばなければ就職はいくらでもあったので就職して、会社に一生を捧げる猛烈サラリーマンになった。この世代だけ人口が膨らみ、その前後は人口が少ないので、相対的に年齢差の小さな友達カップルが早めに結婚した。 団塊世代には大都市に移住してきた二男や三男坊とその妻が作り上げた核家族が多い。学歴資本を形成するのに、仕送りがなく自分で学費を稼ぐ苦学生が大勢いた。その前の世代のように親に仕送りする必要はないが、親からの資産を受け継ぐこともなかった。経済的にはゼロからの出発で、一生を猛烈サラリーマンとして会社に捧げつつ、30年以上のローンを組んで独力で資産、主に郊外に持ち家を取得した。 団塊世代は、成長期が社会の成長期と重なったので、歴史は進歩し続け、暮らしは良くなり続けると思い、自分たちの子どもである団塊ジュニア世代に、自分たち以上のより良い生活を望んだ。このため、子どもに金をかけ、良い生活環境を与え、高等教育を受けさせた。子に高等教育を受けさせるため、専業主婦だった母親はこの時期から再就職し、父親の給料だけでなく母親の貢献によって、団塊ジュニア世代に学歴資本を贈与した。 このような団塊世代は、自分たちの向老期が社会の衰退期と重なった。日本がこれから味わう未知の長い下り坂に合わせて、未知の超高齢社会を迎え、その中で老いを経験して行く。団塊世代は、自分は70代の平均寿命で死ぬと予想していたのに、今や超高齢社会になり、要介護状態になってからも長期の介護期間が継続するという予想外の事態になっている。現代では子どもに介護してもらえる可能性は低いので、お前に資産を残すからその代わり介護は頼むよと言う選択肢はない。そうなると、お前の世話にはならないが、その代わり自分の資産は自分で食いつぶして死ぬよという選択肢しか残されていない。そして、最後まで自分や配偶者の面倒は自分達で見なければならないとなると、蓄えをコントロールしながら、最後は自己資産である持ち家を現金化しなければならないが、団塊の世代が作った資産の多くは郊外に広がるニュータウンマンションなので、資産価値が激しく劣化しているという怖ろしいことが起こっている。 団塊世代に、独力で作った資産を団塊ジュニア世代に残したいかと問うと、3人に2人は残したいと答えるが、子に資産を贈与するなどとんでもない話である。(この原稿を書くにあたっては上野千鶴子著・みんな「おひとりさま」を参考にさせていただきました。」) 暗い話の後は団塊世代にとって明るい未来予測もお伝えしたい。団塊世代から新しい労働力、新しい市場、新しい消費欲望が生れて新たな文化が創られ、団塊世代が再び時代を変えるだろうと、堺屋太一氏は著書「段階の世代・黄金の10年が始まる」の中で予言している。団塊世代は、年長の世代が方向と55年体制を定め、仕組みと仕方を創った後を、数の力と勤勉で推進し、社会文化として確立した。それには@戦後の国際情勢即ち冷戦構造、A規格大量生産型の近代工業社会、B若者の多い人口構造の3つが支えとなった。ところが、‘90年代にはこの3つが壊れてしまった。その結果、4つの病が生じた。@外交の四面楚歌、A財政赤字の垂れ流し、B官僚組織の硬直化、C人口の少子高齢化。 今日本は重大な岐路に立っているが、この体制を変えるのは容易なことではない。団塊世代は、もの心のついた頃からこの体制の中で生きてきたので、この環境から出るのは怖いと思うのは当然。しかし、小手先だけの改革によりジリ貧に陥った時期を長く続けてきた今、現在の構造と気質を変えるだけではなく、その根底の文化と価値観の変更を伴う大胆な改革が避けられない。 団塊世代は、定年後は年金を受けながら安い賃金で働けるので、自由な労働力が大量出現する。終身雇用の職縁社会から離れるので、職縁の消費から個人の楽しみを求める消費に変わり、日本の消費状況は激変する。高齢者の需要に基づく巨大な高齢者市場が生まれる。このような新しい経済環境になれば、日本経済は新たな発展の機会を持つだろう。今こそ日本にとって真の改革のラストチヤンスである。と団塊世代を鼓舞しています。堺屋氏は財政と年金の安定のための方策として@生産性を向上させる、A早産奨励、B高齢者として養われる期間より現役として働く期間を長くする方法の具体策を書いていますが、その内容を話す時間がありません。関心がおありの方は、どうぞこの本をお読みください。 |