戻る
■ 公的介護保険について

 平成12年より、「公的介護保険制度」が導入され、40歳以上の方全員が加入者となり保険料を負担しています。「介護サービス」が必要となった場合は、費用の一部(原則10%)を支払って支援または介護のサービスが利用できます。「介護サービス」に伴う自己負担額は、要介護認定や受けるサービスによって異なります。介護を受けてい場合でも介護保険料の負担は必要です。

 介護サービスが利用できる者は、65歳以上で@入浴・排せつ・食事などの日常生活活動について常に介護が必要な者(要介護者)A心身の状態が改善する可能性が高く日常生活の一部に支援が必要な者(要支援者)、B40歳以上で老化が原因とされる16種の病気により介護が必要になった者。
 「介護サービス」を受ける前の段階で、このまま何もしなければ要支援・要介護になるおそれのある人を対象に、筋力向上のトレーニングや栄養改善などの生活機能の低下を防ぐためのサービスを提供する「介護予防事業」があります。
 介護サービスの申請の流れは、申請により@認定調査員の心身状況の調査A主治医による意見書B介護認定審査会C要支援1・2、要介護1〜5の認定の結果に従いDケアマネージャーと希望サービスを相談しケアプランを作成E認定の有効期間は原則6カ月、更新は12カ月、心身の状態によって24カ月、満了の60日前に更新申請。

 介護サービスの利用の流れは、@基本チェックリストの結果、要支援・要介護になるおそれのある人は、地域包括支援センター(または介護支援センター)の保険師などが介護予防ケアプランを作成し、介護が必要とならないための上記のような様々な「介護予防事業」サービスが利用できる。
 A要支援者は、地域包括支援センター(または介護支援センター)を通して介護予防ケアプランを作成し、サービス提供事業者と契約して予防給付の介護予防サービスを利用する。
 B要介護者は、@居宅サービスを受ける場合、居宅介護支援事業所とケアプランを作成し、契約を結んで介護給付の居宅サービスを利用する。A施設サービスを受ける場合、希望する施設を選び、介護保険施設と直接契約を結び、同施設とケアプランを作成して、介護給付の施設サービスを利用する。

 介護保険で利用できるサービスは、@訪問を受けて利用できるサービスとして、ホームヘルパー、入浴チーム、看護師、リハビリ専門職の訪問と医師による指導。A通所して利用できるサービスとして、デイサービス(入浴・食事・レクレーション)、デイケアー(通所リハビリ)、認知症高齢者のデイサービス、ショートステイ。B施設の利用としては、@常時介護が必要で在宅の生活が困難な人の生活全般の介護をする特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)。その内の29人以下のもの(地域密着型介護老人福祉施設)。A病状が安定している要介護者を対象に、自立と自宅での生活復帰ができるようにリハビリを中心としたケアをする(介護老人保健施設)B病状が回復期に向かっているとか慢性疾患を持っているが、まだ自宅療養には無理が有り長期療養の必要がある高齢者に、医療を行いながらリハビリを続けるといった老人ホーム(介護療養型医療施設)。

 社会学者上野千鶴子さんの調査の結果、公的介護保険制度には数々の問題もあるが、それでもないよりは有る方がずっとよい。その介護保険のもとでのサービス提供事業者はピンキリである。良い介護と言われるサービスはお金の多寡ではなく、モラル即ち士気や意欲の高いヘルパーさんが、低い労働条件のもとでも高齢者の役に立ちたい、喜ぶ顔が見たいという「志」を持って働いてくれることによって支えられている。良い介護を行う事業体として期待できるのは、民間営利企業ではなくNPOのような市民事業体である、と言っています。
 良いサービスを受けるには施設について自分で調査する必要があります。
 公的介護保険で利用できるサービスには上限があります。上限を超えれば自己負担になるので、超えた場合のための任意介護保険に加入することも考える必要があるかもしれません。
 社会保障制度としては、公的介護保険、医療保険、年金がありますが、これらを賄う財源は、保険料、税、患者の自己負担の3つしかありません。将来を見据えた、制度横断的な視点に立った社会保障の全体設計を築くのは待ったなしの急務ですが、政治が動いていないのが非常に不安です。